便秘
便秘
排便回数の減少が便秘の症状として知られていますが、毎日排便があっても強くいきまないと出ない・硬くてなかなか出せない・少量しか出ない・残便感があるといったスムーズな排便ができない状態も広く含みます。特に、便秘は女性に多く、年齢を重ねるとさらに便秘でお悩みの方が増えていきます。男性は高齢になるまで比較的便秘になることが少ないのですが、70歳を超えると便秘になる頻度が高くなります。
便秘の状態は個人差があり、原因も様々です。当院では、専門医が適切に判断し、原因と状態、ライフスタイルに合わせたきめ細かい治療を行っています。なお、便秘は疾患が原因になって生じることもありますので注意が必要です。
便秘は日常的な不調と捉えられていることが多いのですが、深刻な疾患の症状として便秘が起こっていることもあります。特に注意が必要なのは大腸がんの症状として生じている便秘です。また、腹部手術を受けたことがある方の場合、癒着によって便秘があらわれていることもあります。大腸がんや癒着がある場合、早急に適切な治療を受ける必要があり、放置してしまうと命に関わる可能性もあります。
また、消化器以外の疾患である甲状腺機能低下症、糖尿病、パーキンソン病でも便秘を起こすことがあり、様々な全身疾患の治療薬の副作用として生じることも少なくありません。
大腸の蠕動運動の機能が低下して起こるタイプで、女性や高齢者に多くなっています。お腹の張りや残便感、食欲低下を伴うことが多く、肩こりや肌荒れなどを起こしやすい傾向があります。腸管の緊張がゆるんで蠕動運動が低下することで大腸内に便が長くとどまるようになり、過剰に水分を吸収されて硬くなって排出が困難になります。
運動・水分・食物繊維の不足が発症に関与することが多く、筋力の低下や過激なダイエットによって生じることもあります。
大腸が過剰に緊張して、便がスムーズに先へ送られなくなっている状態です。消化管は自律神経がコントロールしていますが、バランスを崩して副交感神経が過度に興奮すると腸管が緊張して便秘を発症します。コロコロした小さくて丸く、硬い便が少量しか出ないという症状があらわれ、食後の下腹部痛や残便感が伴うことも多くなっています。便秘と下痢を繰り返すケースもあります。環境の変化などのストレスが発症に関与することがあり、過敏性大腸症候群の症状として起こっていることもあります。
便が直腸まで順調に来るのですが、そこで停滞して便意を起こさず、直腸に便が溜まり排出が困難になるタイプです。便意の我慢によって生じることが多く、切れ痔があって排便に痛みが伴う場合は無意識に便意を我慢してしまい、直腸性便秘を発症することがあります。直腸性便秘と切れ痔は互いを悪化させやすいため、両方の治療をしっかり行わないと手術が必要になったり、肛門機能に障害が残ったりする可能性があります。
腸閉塞、大腸がん、腸管癒着などによって腸管の通過障害が起こり、それによって便秘を生じています。器質性便秘の場合、下剤を服用すると大腸穿孔を起こす可能性があり危険です。また、便秘に血便、強い腹痛、吐き気・嘔吐などの症状を伴う場合、早急に適切な治療が必要な疾患の可能性があります。すぐに当院までご相談ください。
便秘が続く場合、大腸がんをはじめとした多くの大腸疾患の確定診断が可能な大腸カメラ検査を受け、原因をしっかり確かめることが重要です。当院では、鎮静剤を使ってうとうと眠っているような状態で受けられる大腸カメラ検査を行っており、専門医が質の高い検査を行っております。
原因疾患がある場合はその治療を行い、薬の副作用で生じている場合は処方を見直します。それ以外の原因で生じている場合には、食事や排便習慣を含む生活習慣の改善と薬物療法によって症状を改善に導きます。身体を動かすことで腸の働きも活発になるため、軽い運動を習慣的に行い、便意があったらすぐトイレに行く習慣を付け、水分をしっかりとるよう心がけてください。食事は特に便意解消の要になりますので、食生活を見直しましょう。
水分・食物繊維をしっかりとりましょう。栄養バランスのとれた3食を規則正しくとり、適度な脂肪をとることも快適な便通には重要です。ダイエットで脂肪摂取を極端に制限してしまうことがありますが、便秘を解消するためには適度な脂肪の摂取が不可欠です。
食物繊維は消化されないため、便の量を増やして便秘を解消し、スムーズな排便を助けてくれます。食物繊維は水に溶ける水溶性と溶けない不溶性に分けられます。玄米や野菜は不溶性食物繊維を多く含み、便の材料になります。水溶性食物繊維はワカメなどの海藻やキノコ、納豆や果物などに多く含まれており、便の量を増やしてやわらかくする効果があります。便秘のタイプによって、適した食物繊維のとり方が変わってきますので、ご自分に適したバランスやとり方を心がけることが重要です。
便をやわらかくして出しやすくする薬、腸の運動を助ける薬、便の排出を促す薬などがあります。効果の強い薬は一時的には有効ですが、依存性があり徐々に効かなくなり推奨されません。最近はこれまでとは作用機序や効果のあらわれ方が異なる薬も登場し、副作用や依存性の少ないことが特徴にあげられます。便秘のタイプや症状、お悩み、ライフスタイルなどにきめ細かく合わせた処方を行っています。
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